綿のポロシャツに穴が!

更新日:2020年12月8日

衣料品

平成23年度

相談内容

長年、愛用していた白い綿のポロシャツ。洗濯しようとしたら右脇腹に、1センチ程の灰茶色のシミが付いていたので、酸素系漂白剤をつけて、もみ洗いしたところ、シミの部分に穴があいてしまった。

テスト結果

観察

  • ・穴の周囲が一部、灰茶色になっています。(写真①)
  • ・穴の周囲の糸を顕微鏡で調べると、溶けたのではなく繊維がもろくなった所に力が加わって損傷したようです。(写真②)
(写真①・25倍) (写真②・320倍)

試験1

相談品のポロシャツのシミが付いていない通常の箇所へ、同じ酸素系漂白剤を付けて、もみ洗いしてみました。
→穴は開きませんでした。

試験2

名古屋市工業研究所に検査を依頼してエックス線顕微鏡で分析しました。
→穴の周囲から、鉄と銅が検出されました。

結果

金属成分が触媒となり、酸素系漂白剤の成分「過酸化水素」と、ポロシャツの繊維「綿」の成分「セルロース」が反応し、強度の弱い「酸化セルロース」に変化したと推定されます。そのため、通常のもみ洗いでも穴が開いてしまったものと考えられます。
金属が付着した原因は確認できませんでしたので、どの程度、金属が付着するとこうした現象が起こるかは不明です。

触媒・・・それ自身は変化をしないが、他の物質の化学反応のなかだちとなって、反応の速度を速めたり遅らせたりする物質 (三省堂「大辞林 第二版」より)

ハッピーからのアドバイス

使用前には注意書きと使用方法をよく読みましょう!
酸素系漂白剤は、直ぬりタイプもあり、扱いやすく便利ですが、今回の事例では金属成分を含むシミだったため、ポロシャツの素材の「綿」と反応して穴があいてしまいました。
セルロースを成分とする「綿」や「麻」製品などを漂白する際には、鉄や金具のサビ、ネックレスなどの金属が摩擦で付着していないかなどにも注意が必要です。

その他

【酸素系漂白剤の表示例】
使用方法
○使えないもの
  •  ・水洗いできないもの
  •  ・含金属染料で染めたもの
  •  ・金属製の付属品(ボタン、ファスナー、ホックなどの留め具)がついたもの
  •  ・試し方で変化したもの
○試し方
目立たない部分に原液をしみこませて、すぐに洗剤液をつける。5分程度で変色するもの、白布をあて、たたいて色が移るものには使わないでください。

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