事業者を狙う問題商法にご注意ください

突然の訪問販売等で、つい契約をしてしまった場合に契約を解除する有効な手段としてクーリング・オフ制度があります。しかし、クーリング・オフ制度は一般消費者と事業者との契約が対象であり、事業者(個人事業者を含む)と事業者との間の契約には基本的には、適用されません。

そこに目をつけた悪質業者が、あえて事業者を狙い、言葉巧みに消火器や電話機リース等の訪問販売を行っています。特に法律に不慣れな個人事業者は狙われがち。すでに廃業しているけれど軒先に看板だけ残っているような店を訪問し、契約書には店のゴム印を押させる例もよくあります。ご注意ください。

一般企業や幼稚園、寺社、ファーストフード店などでトラブル多発!消火器の点検商法

消火器の点検と称して訪問。あたかも以前から取引している業者のように偽り、既存の消火器の薬剤を詰め替えて高額な料金を請求する事例が増加しています。
勘違いに気づき慌てて解約を申し出ても「事業者の契約はクーリング・オフはできない」等とまくしたてられ、結局、料金を支払わざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。

事例1 職場に「消火器の期限が切れているので点検に伺いたいが、いつがよろしいですか」と電話があったため、出入りの点検業者からだと思い込み日時を指定した。約束の日に来訪した業者は消火器を点検して「ウチの会社のステッカーが貼ってありますね。詰め替えをしてきます」と消火器1本を運び出した。その際、書面にサインを求められ、契約書の内容をよく読まずサインをしてしまった。
後で高額な請求に驚き、業者に電話でクーリング・オフを申し出たが「会社はクーリング・オフできない。金を用意しておけ」と怒鳴られた。
職場からは「出入り業者であるかをしっかり確認せずにサインしたあなたに責任がある」と言われ、自腹を切って代金3万円を払うことになってしまった。
事例2 非営利法人の福祉作業所に「消火器の交換に行きます」と電話がかかり、その後、業者が来訪。「消火器を点検・交換します」と消火器1本を持ち帰り、代わりに古い消火器を置いていった。よく事情が分からないまま事務員が契約書にサインしてしまったため、すぐに『やめたい』と業者に電話をしたが「支払わなければ裁判にする」とすごまれた。

消火器の設置・点検は消防法により、施設(防火対象物)、その規模により細かい規定(1年に1回ないし3年に1回)があります。消火器の規格を定める省令の改正(平成23年1月1日施行)により、表示や点検基準が改正されました。消火器にも使用期限が定められており、業務用消火器本体に「設計標準使用期限」と表示があります。使用期限は概ね10年です。また、一度に全数詰め替えの必要はありません(製造後3~8年の消火器の場合)。一般家庭には消火器の設置義務はなく、消火器を点検する義務もありません。
点検と称して訪問があった場合は、セールストークに惑わされずに、いつもの点検業者かどうか、点検が本当に必要かどうかを確認しましょう。

[Point1] 業者の名前をしっかり確認する

出入り業者を装って電話をしてくる場合があるので、職場の責任者に必ず確認をする。来訪時には身分証明の提示を求めて正規の出入り業者であるかどうか確認するようにしましょう。

[Point2] 契約書に安易に署名、捺印をしない

事業者が営業のために用いるものを契約した場合、訪問販売であっても特定商取引法のクーリング・オフ制度は適用されません。契約書にサインする前に、十分確認しましょう。

[Point3] 契約前に金額を確認する

契約前には金額の説明がなく、作業後に高額な請求をされる場合もあります。

もし被害に遭ってしまったら・・・

  1. 請求されてもとりあえず代金を支払わないで交渉する。
  2. 事業者への消火器の訪問販売でクーリング・オフを認めた判例(大阪高等裁判所平成15年7月30日判決)もあるので弁護士からクーリング・オフ通知をだしてもらうのが望ましい。

関係法令や参考サイト

総務省消防庁:消火器の訪問点検にご注意
http://www.fdma.go.jp/html/life/caution.html
一般社団法人日本消火器工業会:悪質訪問販売にご注意!
http://www.jfema.or.jp/info/info4.html

事業者狙いの手口あれこれ

電話機・FAX機器のリース

大手電話会社の関連会社のように装い事務所や店舗を訪問。「今よりも高性能で電話代も安くなる・・・」「現在使用している電話機はデジタル化で使用できなくなる・・」等と勧誘して、電話機やFAX機器の長期間(7年程度)のリース契約を結ばせる。

  • デジタル化で現在の電話機が使えなくなることはありません。
  • 月々のリース代は数千円でも、長期間の契約だと、かなり高額になります。支払い総額がいくらになるか、冷静に判断しましょう。

節電器のリース

飲食店や美容院、鮮魚・青果店など、電気をたくさん使う業種をターゲットに、「節電器をつければ電気代が安くなる。リース代は電気代が安くなった分で、十分まかなえる」等と勧誘し、節電器のリース契約を結ばせる。

  • リース代ばかりかかり、説明された程の節電効果がないというトラブルもあります。
  • 節電器をつけたことで電気器具に支障がでる場合もあるため、設置については、事前に電気会社に問合せをした方が無難です。

広告の掲載

「宣伝のウェブサイトを作成します」等と電話で執拗に勧誘したり、「以前に結んだ広告掲示の契約が継続しています」等と一方的に代金を請求してきたりする。

  • 口頭でも契約は成立します。あいまいな返事をすると、契約が成立したと主張される恐れもあるため、不要ならば、きっぱり断りましょう。
  • 不審な請求には応じず、請求の根拠となる書面の提示を求めましょう。

経営に関する書籍

経営に関する本や雑誌を勝手に送りつけて、購読料を請求する。いつも購読している本などと勘違いして振込むことを狙い、数百~数千円程度の振込み用紙が同封されていることもある。

  • 少額だと、つい振込んでしまいがちですが、それでは相手の思うツボです。契約した覚えのないものの請求には応じないようにしましょう。

契約をしてしまったが、やっぱりやめたい

一般消費者と事業者とでは情報力や交渉力に大きな隔たりがあり、消費者は不利な立場にあります。その格差を埋めるため、一般消費者と事業者との契約は、特定商取引法や消費者契約法などにより保護されています。一定の要件を満たせば、クーリング・オフや、契約の取消しができます。
一方、事業者(個人事業者を含む)と事業者との間の契約は対等の立場であるとみなされ、特定商取引法や消費者契約法などは適用されません。

しかし、近年、個人事業者等を狙った悪質な電話機リースの訪問販売の苦情が急増していることをうけ、平成17年12月に経済産業省は特定商取引法の通達を改正し、『一見事業者名で契約を行っていても、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合は、原則として本法は適用される』と明示しました。これにより、事業者の契約だとしても、契約の内容によってはクーリング・オフができることが明確になりました。

事業者への消火器の訪問販売でクーリング・オフを認めた判例(大阪高等裁判所平成15年7月30日判決)、零細事業者の電話機リース契約でクーリング・オフを認めた判例(名古屋高等裁判所平成19年11月19日判決)もあります。
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200902_2.html

契約先から「事業者の契約はクーリング・オフはできない」等と解約を断られても、あきらめずに、まずは相談してみましょう。

事業者の方の法律相談窓口

事業者間の契約については、以下の窓口でご相談ください。 なお、受付時間など詳細はそれぞれの窓口でご確認ください。

名古屋市中小企業振興センター
•法律相談(要予約)
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000055395.html
名古屋市中小企業振興センター 052-735-2100
名古屋商工会議所
•専門相談(要予約)
http://www.nagoya-cci.or.jp/keiei/sodan_senmon.html
公益財団法人 あいち産業振興機構
•窓口相談(要予約)
http://www.aibsc.jp/tabid/118/Default.aspx
独立行政法人 中小企業基盤整備機構中部本部
•窓口相談(要予約)
http://www.smrj.go.jp/chubu/manage/consult/index.html
愛知県弁護士会
•あいち中小企業法律支援センター
http://www.aiben.jp/about/katsudou/tyusyou/
無料電話相談ダイヤル 052-265-6693(15分)⇒ 面接相談初回30分 5,400円
日本弁護士連合会
•中小企業のためのひまわりほっとダイヤル(要予約・初回面談30分無料)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/index.html
全国共通受付電話番号 0570-001-240