仕立てた喪服の素材が、依頼した反物と違っているように見える。

更新日:2015年3月20日

衣料品

平成16年度

相談内容

初めて出かけた着物の展示会で反物を購入し、喪服を仕立ててもらったが、仕上がった製品の素材が、手元にある端切れと異なるように思う。よく利用する百貨店の呉服売り場の人にも見てもらったが、色の感じが違って見えると言われた。そのことを仕立屋に伝えると、すぐに引き取り仕立て直してくれたが、2回目の製品もやはり素材が異なるような気がする。

テスト結果

テストの結果

目視した範囲では、1回目の反物の端切れと製品、2回目の反物の端切れと製品、共に色が少し異なるようにも見えましたが、同一とも異なるとも断定できませんでした。
双眼実体顕微鏡とマイクロスコープでの観察では、織構造については、どれも違いは見られませんでした。
(写真1~4)

分光測色計(愛知県県民生活プラザ商品テストグループ協力)を用いて、それぞれの明度と色相を測定し、色差を求めました。計測上では、色差ΔEは、1回目0.28、2回目0.15で差がない(0~0.5:差なし、0.5~1.0ごく僅かの差、1.0~2.0僅かの差)という測定結果が出ました。

マイクロスコープを用い再び検鏡し、1回目の端切れと製品、2回目の端切れと製品の織構造を照らし合わせてみました。(写真5、6)織構造は同一と推定されました。
以上のことから、1回目、2回目とも同一の生地であり、差異はないといえます。

色が異なるように見えたのは、このような伝統工芸品は部分的に、また製品毎に、ごく僅かな色むらが出ることがあるためと、人間の目視は、他の要因に左右されやすいことが挙げられます。また、反物の時に付いていた糊が、縫製段階で、僅かに取れ、手触りも違った感じになることも起こりえます。

(写真1)
注文した反物の端切れの織構造。(双眼実体顕微鏡)

(写真2)

第1回製品の織構造。(双眼実体顕微鏡)
    
(写真3)
注文した反物の端切れの織構造。(双眼実体顕微鏡)
(写真4)
第2回製品の織構造。(マイクロスコープ)



(写真5)
織構造の検討(マイクロスコープ)
上 注文した反物の端切れ 下 第1回の製品

(写真6)
織構造の検討(マイクロスコープ)
上 注文した反物の端切れ 下 第2回の製品

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