女性用スーツを染み抜きに出したら、裏地が目寄れした

更新日:2015年3月14日

クリーニング

平成20年度

相談内容

3年前に購入した紺色の女性用スーツ(表地ウール100%)。上着後ろ身頃の袖の付け根付近の裏地にしみがついていたので、染み抜きに出したら、しみの部分に孔が開いて戻ってきた(写真1)。
(写真1)裏地部分

テスト結果

観察

1.スーツに付けられた繊維の組成表示は、
 裏地
 身頃の上側 レーヨン
 身頃の下側 キュプラ
 袖 キュプラ
となっていました(写真2)。
  • 2.孔の部分を、双眼実体顕微鏡で観察したところ、着用時に引っ張りの力が掛かりやすい、身頃上部、袖の裏地レーヨン部分に「目寄れ」が生じていました(写真3、4)。
(写真3)目寄れ1 (写真4)目寄れ2

メーカーへの調査

メーカーに
1.「目寄れ」試験データの有無
2.裏地の在庫の有無
について問い合わせしたところ、試験データも、裏地の在庫もありませんでした。そのため、当センターで「目寄れ」試験をすることはできませんでした。

メーカーは「この製品は、個性的なデザインで、少し変わった素材と個性的な色彩を使ったところが特徴。毎日着用ではなく、注意して取り扱って欲しい商品」と説明しました。

結果

「目寄れ」の原因には、素材、生地の製造工程、縫製の工程、洗濯の工程、相談者の使用法などが考えられますが、今回は素材の試験ができなかったので、原因を特定はすることはできませんでした。しかし、クリーニング店が受付時に丁寧にスーツの状態を確認していれば、「目寄れ」を防止できた可能性もありました。

クリーニング店にテスト結果を伝え、クリーニング事故賠償基準に基づく対応を依頼したところ、取得時価格の一部をクリーニング店が賠償することで斡旋解決となりました。
注意!
おしゃれで素敵な商品は購買意欲を煽りますが、高額な商品が必ずしも丈夫で長く使える商品とは限ません。
今回の相談品も、裏地に、身頃の上側にレーヨンを、下側と袖口にキュプラを用いる変わった作り方をしていました。表地が丈夫な毛でも、裏地が摩擦などに弱ければ、裏地から傷むことがあります。
購入する際は、製品の組成表示を確認し、素材の特徴から製品が使用目的にあっているかどうか検討してから、選ぶことが大切です。

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