18歳になるキミに/なったキミに―成年年齢引下げ特集 by 名古屋市消費生活センター
更新日:2022年3月24日
成年年齢の引下げによって何が変わる?
民法の改正により、2022年4月1日より成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
同じ高校3年生でも、成年(成人)と未成年が混在することになります。
成年年齢の引下げによって、例えば以下のようなことが変わります。
18歳になったらできるようになること
- 賃貸アパートを借りること
- スマートフォンを契約すること
- クレジットカードを作ること
- ローンを組んで買い物をすること
- 10年有効のパスポートを作ること
- 公認会計士などの国家資格に基づく職業に就くこと
- 性別の取扱いの変更の審判を受けること
※クレジットカードは、支払い能力の審査結果により作れない場合もあります。
※返済能力を超える場合などはローンを組めないこともあります。
これまで通り変わらないこと
- 飲酒や喫煙は20歳になってから
- 公営ギャンブルの券を買えるのは20歳になってから
※これらの事柄は、健康面への影響や非行防止、青少年保護等の観点から、これまでと変わらず20歳からしかできません。
成人すると「未成年者取消権」を行使できなくなります
18歳、19歳の方は、親(親権者)の同意を得なくても自分の意思で様々な契約をすることができるようになります。しかしその一方で、未成年者が親(親権者)の同意を得ずにした契約を原則として取り消すことができる「未成年者取消権」を行使できなくなります。契約を結ぶかどうかを決めるのも、その契約に責任を負うのも自分自身になります。
契約には様々なルールがあり、知識がないまま安易に契約を交わすと、トラブルに巻き込まれる可能性があります。社会経験に乏しく、「未成年者取消権」による保護がなくなったばかりの若者を狙い撃ちにする悪質な事業者も存在します。消費者被害に遭わないためには、正しい知識を身につけることが大切です。
関連リンク
成人したばかりの若者は狙われやすい!
名古屋市消費生活センターで受け付けた2020(令和2)年度の消費生活相談のうち、19歳の相談件数が116件のところ、20歳の相談件数が247件とほぼ倍となっています。今後、成年年齢引下げに伴い、18歳、19歳を含む若者の消費者被害の拡大が懸念されます。
若者に多い消費者トラブル事例
若者に多い消費者トラブルとして、例えば以下のものが挙げられます。
サプリメントのおためし購入を申し込んだつもりが、定期購入になってしまった
そもそも「契約」って何?
契約とは、「法的な責任を伴う約束」です。「申込み」と「承諾」という意思表示の合致で成立し、消費者には代金を支払う義務と商品を受け取る権利が発生します。
契約は口約束でも成立し、一方的にやめることはできません。契約相手との合意ができた場合は解約できることがありますが、キャンセル料や損害賠償を求められる場合もあります。
これらはどれも「契約」です
- コンビニでお菓子を買う
- 電車やバスに乗る
- 美容院で髪を切る
- ネット通販で本を買う
- 自動販売機で飲み物を買う
- 病院で診察を受ける
- 定額制映像配信サービスを申し込む
契約が成立するタイミング
- お店での買い物…レジなどでお店の人に「これをください」と伝え、「わかりました」と言われたとき又は了承されたとき
- 電話で宅配ピザを注文…電話で注文し、「わかりました」と言われたとき
- ネット通販での買い物…「申込内容確認画面」で内容を確認して申し込み、相手からの承諾通知(「商品をご注文いただきありがとうございました」などと書かれた画面)が表示されたとき
クーリング・オフができる契約・できない契約
クーリング・オフとは、いったん申込みや契約をした後でも、一定の条件を満たせば消費者が一方的に契約をやめることができる制度です。ただし、クーリング・オフができる契約とできない契約とがあります。
クーリング・オフができる契約は、訪問販売や電話勧誘販売といった、事業者からの不意打ち的な勧誘により契約した場合などです。
クーリング・オフができない契約は、例えばネット通販での商品の購入などです。通信販売は画面などの表示を見て消費者が自分から申し込むため、クーリング・オフはできません(ただし、販売会社により自主基準で返品制度を設けている場合があります)。
ネット通販で買い物をするときは、「支払いの総額はいくらか」「解約・返品の条件はあるか」「定期購入が条件になっていないか」など、小さい文字までよく読んで契約内容をよく確認することが大切です。
クーリング・オフ制度について詳しくは下記のページをご覧ください。
こんなとき、どうすれば良い?
先輩や友達から、「儲かる投資ノウハウがある」などと勧誘された
久しぶりに会った同級生から「先輩に教わって投資を始めたけど、話だけでも聞いてみない?」などと誘われて、行ってみることにした。友達の先輩と喫茶店で会うと、「絶対に儲かるノウハウを教えるよ。費用は50万円だけどどうかな? お金がないなら、消費者金融で借りればいい。すぐに稼げて、返せるよ」などと言われ、断りきれずに購入することになった。 儲かると思った投資ノウハウは全く儲からず、借金が残り困っていると、先輩から「友達を紹介したら、紹介料が3万円入るよ」などと言われた。
このような事例が大学生の間で増えています。同級生や先輩からではなく、SNSで知り合った人から誘われる事例もあります。
簡単に儲かる話はありません。きっぱりと断る勇気が大切です
このような事例では、クレジットカードで高額決済させられたり、消費者金融や学生ローンなどでの借金を勧められたりする場合もあります。儲からないからと友達を紹介すると、あなたが加害者になる可能性もあります。
簡単に儲かる話はありません。「借金してもすぐ返せる」などと言われても、きっぱりと断る勇気をもつことが大切です。
困ったときは、一人で抱え込まずに相談を
消費者トラブルに巻き込まれないためには、どのようなトラブルが発生しているかについて知っておくことや、家族や友達同士で話題にしたり、話し合ったりすることが大切です。
名古屋市消費生活センターのウェブサイトでは、消費生活相談の事例や消費生活にまつわる法律や用語などについて掲載していますので、ぜひご活用ください。
また「困ったな」「おかしいな」と思ったら、一人で抱え込まずに、消費生活センターに相談してください。消費生活相談員が、トラブル解決に向けて助言、あっせん、情報提供を行います。相談は無料で、秘密は守られます。
名古屋市在住・在勤・在学の方は
名古屋市在住・在勤・在学でない方は
お住まいの地域の消費生活相談窓口又は消費者ホットライン(局番なしの188)にお問い合わせください。
若者向けの法律相談
名古屋市消費生活センターでは、若者向けの法律相談を行っています。消費生活相談員による相談後、必要に応じて実施しています(消費生活相談員が同席します)。詳しくは下記のページをご覧ください。
「消費者が意見を伝える」際のポイント
本来、消費者が事業者に商品・サービスについての意見を伝えることは、事業者の業務改善や新たな商品・サービスの開発につながるものです。 しかし、場合によっては過剰な要求や不当な言いがかりになってしまうこともあります。
自立した消費者として、意見がきちんと相手に伝わるように、「意見を伝える」ときには次の3つのポイントを参考にしてみてください。
ポイント1 ひと呼吸、置こう!
ポイント2 言いたいこと、要求したいことを「明確に」、そして「理由」を丁寧に伝えましょう!
ポイント3 事業者の説明も聞きましょう! 従業員、事業者も頑張っています。意見の伝え方には留意しましょう。
「消費者が意見を伝える」際のポイント(PDF 415.06KB)
名古屋市消費生活センターの若者向け啓発事業のご紹介
名古屋市消費生活センターでは、市内の高等学校と連携して、消費者問題について学んだ高校生がその知識を生かし、若者向けに啓発資材を作成する事業を実施しています。
若者向け啓発事業 令和2年度の取組み
名古屋市立工芸高校にデザインを依頼し、啓発ポスターとチラシを作成しました。
関連リンク
若者向け啓発事業 令和3年度の取組み
名古屋市立緑高校演劇部にシナリオ作成と出演を依頼し、啓発動画を作成しました。
関連リンク
ウェブサイト・SNS・メールマガジンでの情報発信
本ウェブサイトやTwitter、メールマガジンで消費者トラブルについての情報などを発信しています。ぜひご活用ください。
くらしの情報プラザにおける情報提供
名古屋市消費生活センター内にあるくらしの情報プラザでは、消費生活に関する情報提供を行っています。金銭教育やSDGs、教員向けの消費者教育に関する展示のほか、図書・視聴覚資料の貸出しも行っています。
学校における消費者教育
名古屋市消費生活センターでは、幼稚園・保育園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学級・学校において消費者教育を実施しているほか、教員の方への情報提供も行っています。
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