国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
更新日:2021年2月18日
原状回復をめぐるトラブルの未然防止と円滑な解決のために、費用負担のあり方について妥当と考えられる一般的な基準を国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」として公表しています。
ガイドラインでは、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善良な管理者の注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」と定義しています。借りた当時の状態に戻すということではありません。自然損耗(経過年数や日焼け等により自然に劣化するもの)及び通常損耗(家具の設置跡など借主の通常の使用により生じたもの)については月々の賃料に含まれており、借主に負担義務はありません。
このガイドラインには法的な強制力はありませんが、原状回復の考え方の指針となっています。
借主に修繕費を払う必要があると考えられる例
- 引越し作業でついたキズ
- 不注意で雨が吹き込んだことなどによるフローリングの色落ち
- タバコ等のヤニ・臭い
- 壁の下地ボードの張替えが必要な程のクギ穴やネジ穴
- ペットによる柱等のキズ・臭い
- 飲み物等をこぼしたことによるカーペットのシミやカビ
- 日常の手入れを怠ったことにより発生した壁や浴室等のカビ
- 使用後の手入れが悪くて取れなくなった台所の油汚れ
借主に修繕費を払う必要がないと考えられる例
- 家具による床やカーペットのへこみ
- 日焼けによる畳やフローリング、壁の変色
- テレビや冷蔵庫等の後ろの壁の黒ずみ
- 全体のハウスクリーニング
- 壁に貼ったカレンダーやポスター等の画鋲の穴
- エアコン設置による壁の跡やビス穴
- 鍵の交換(ただし借主が鍵を破損や紛失した場合は借主側の負担)
借主の負担割合の考え方
借主に負担義務がある場合の借主の負担割合は、経過年数を考慮して、年数が多いほど借主の負担割合を減少させる考え方を示しています。
負担対象範囲の考え方
毀損部分の補修工事が可能な最低限度を施工単位とすることを基本としています。例えば、畳・襖・障子等は一枚単位となっています。