賃貸住宅の契約

更新日:2021年3月25日

賃貸住宅は、貸主(大家)と借主(入居者)の間で賃貸借契約を結びます。宅地建物取引業の免許を持つ不動産業者(宅建業者)が物件探しから契約締結、入居手続きまでを仲介します。
貸主は、仲介する不動産業者とは別の会社に物件の管理を委託することがあります。その場合、借主は物件探しから契約、入居手続きまでは仲介する不動産業者、入居から退去までは管理会社と関わることになります。
契約関係をよく理解しておくことが大切です。

物件探しから退去まで


物件探し

自分の希望条件を整理し、情報収集を十分に行いましょう。必ず現地に行って、物件の状況(建物、設備、周辺環境、交通など)を確認しましょう。
「物件をおさえるために必要」などと言い、「申込金」「内金」「手付金」と言った名目で支払いを求められることがありますが、契約の成立前に支払ったお金は「預かり金」として扱われ、契約をキャンセルした時、宅建業者はこのお金を返還しなければなりません。


契約締結

契約前に重要事項説明を受け、借りるかどうか判断をします。その後、契約書をよく読み、不利な特約がないかなどをしっかり確認しましょう。いったん、結んだ契約は内容を了解したことになるので、わからない点は説明を求めて理解したうえで契約しましょう。
退去時のトラブルを避けるためにも、入居時に貸主(管理会社)と借主で立ち会い、部屋を点検・確認して、キズ、汚れ、シミ、カビなどをチェックし、記録や証明になる写真を撮っておきましょう。壊れている場合は修理してもらいましょう。


入居中

貸主には、借主が居住するために必要な修理をする義務があります。また、借主には、建物部分や付帯する設備を、注意をもって使用・管理しなければなりません(善管注意義務)。設備機器の故障など、修理が必要な場合や不具合は、すぐに貸主(管理会社)へ連絡しましょう(通知義務)。借主の不注意による破損や、通知を怠って広がってしまった修繕部分は、借主が修理費用を求められる場合があります。


退去

借主から解約する場合、賃貸借契約書に書かれた退去申出期日までに退去の旨を伝えましょう。
退去時の費用の精算について、賃貸借契約書の内容を確認するとともに、国土交通省の『原状回復を巡るトラブルとガイドライン』の考え方に基づいて交渉してください。貸主(管理会社)と立ち会い、入居時の記録や写真を参考にして修繕の必要な箇所を確認し、原状回復費用など、退去に必要な金額を確定します。敷金がある場合は退去費用と精算します。精算金に納得ができない場合は、具体的な精算内容と返金希望額を示した通知書を出すとよいでしょう。
話し合いがつかない場合には、民事調停を申し立てたり、少額訴訟制度を利用することも考えられます。

敷金

契約を結ぶ際に、借主が貸主に預け入れるお金を「敷金」と言い、家賃の滞納や不注意による汚れ・破損などがなければ契約終了時に返金されます。
なお、「礼金」は地域の慣習で貸主に支払うもので、返金されません。


原状回復ガイドライン

原状回復をめぐるトラブルの未然防止と円滑な解決のために、費用負担のあり方について妥当と考えられる一般的な基準を、国土交通省が『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」として公表しています。
このガイドラインでは、借主の不注意による破損や、通知を怠って広がってしまった修繕部分は、経過年数を考慮し修繕工事が可能な最低限度を借主が負担し、次の入居者のために住宅の価値を高めるための費用などは貸主が負担するとしています。
このガイドラインに法的な強制力はありませんが、原状回復の考え方の指針となっています。


借主が修繕費を払う必要があると考えられる例


貸主が修繕費を払う必要があると考えられる例

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